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サラリーマンは「不動産投資で節税」という営業トークに要注意!

 2018/02/28 はじめての不動産投資
この記事は約 14 分で読めます。 1,796 Views

あなたは、「不動産投資をすれば、所得税の節税をすることができますよ!」といった、営業電話を受けたことはありませんか?

一定以上の収入があるサラリーマンを対象に、このような営業トークで興味を引き、不動産を販売するというものです。

確かに、不動産投資は節税に活用することは可能です。

不動産投資を考えている方の中には「できることなら税金を少なくしたい」と「節税対策」を目的にしている方も少なくありません。

しかし、真実を知らないままに節税目的で不動産投資をはじめてしまえば、思わぬリスクを招くことになります。

そもそも、不動産投資による収益確保と節税は目的が異なります。

不動産投資による節税は高額所得者や富裕層・資産家の方々向けであり、節税効果も無限に続く訳ではなく、収益性の確保と節税効果は両立しないからです。

物件を売ることが仕事である営業マンは、不動産投資のメリットだけを誇張し、隠れたデメリットやリスクについて、詳しく説明しないことがあります。

営業トークで誤解や錯覚をしないようにするために、最低限の知識は手に入れましょう。

 

所得税の仕組み

節税対策について、実際どのくらい効果があるのか把握できなければ対策の検討ができませんので、まずは所得税の仕組みを解説します。

所得税は累進税率

日本の所得税は、1年間の全ての所得(年収)から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用して税金が計算されます。

下表のように、この課税所得が増えれば税率も高くなる累進税率となっていますので、高額所得者ほど納税額が大きくなります。

つまり、所得税率の高い高額所得者であればあるほど、所得税の節税対策も大きくなります。

[平成29年4月1日現在法令等]
所得税の速算表
課税される所得金額(課税所得) 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

所得税の計算

上記の表を使い、課税所得が700万円の場合の所得税を計算すると、次のようになります。

700万円 × 23% - 63万6千円 = 97万4千円

さらに、

「900万円超 ~ 1,800万円以下」 ⇒ 「33%」

「1,800万円超 ~ 4,000万円以下」 ⇒ 「40%」

「1,000万円超 ~ 」 ⇒ 「45%」

という高い税率構造になっているため、高額所得者の方が単純に収入を増やしても思ったような手残りにならないケースがあるのです。

その対策として不動産投資を活用した「節税」があります。

※参考:不動産投資で節税対策するなら知っておきたい所得税の仕組み

 

節税対策ができる理由

次に、不動産投資で所得税の節税対策ができる理由を解説します。

節税ができる大きな理由はお金の支出を伴わない減価償却費

なぜ、不動産投資で所得税が節税できるのかというと、お金の支出を伴わない税務上の経費「減価償却費」があるからです。

簡単に説明すると、建物などは年数経過につれて古くなるため、定められた期間(法定耐用年数)に応じて毎年の価値が下がる分が「減価償却費」として経費化できるのです。

<法定耐用年数>

木造アパート 法定耐用年数22年
鉄筋コンクリート造マンション 法定耐用年数47年

表のように、新築木造アパートの法定耐用年数は22年です。

この法定耐用年数を経過した築年数(木造アパートの場合22年以上経過)の物件は、最短4年で減価償却できるのです。

つまり、中古物件は短期間で減価償却できるので節税対策となり得るのです。

例えば、建物価格が2,000万円の物件における減価償却費は、新築の場合耐用年数22年なので年間で約90万円、築25年の物件では4年で減価償却するため、年間約500万円の経費計上が可能なのです。

参考:中古物件の減価償却期間の算出

 

■ 購入した中古物件が耐用年数の全部を経過している場合

⇒ 新築の場合の耐用年数(法定耐用年数)×0.2

 

■ 購入した中古物件が耐用年数の一部を経過している場合

⇒ (法定耐用年数-中古物件の経過年数)+(中古物件の経過年数×0.2)

 

なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。

※参考:サラリーマンが不動産投資で節税できる理由

経費化できる費用がある

不動産投資で必要となる費用も確定申告で経費として計上できます。

例えば、減価償却費の他に、固定資産税・損害保険料・減価償却費・建物管理費・修繕費・借入利息などがあります。

区分所有マンションの場合には、修繕積立費も経費となります。

また、物件購入あるいは物件を管理するために使った移動の費用(電車やバス代、自家用車のガソリン代や駐車場代、ホテルの宿泊費など)も経費として計上できます。

さらに、不動産投資を勉強するための書籍・新聞やセミナー代をはじめ、パソコン・携帯電話・インターネットなどの費用、管理会社などとの打ち合わせや食事なども経費として計上できます。

減価償却とは異なり、実際に支出する費用ですが、経費として計上しなければ課税所得が高くなり、所得税も増えてしまいます。

このように、不動産投資において必要な費用は経費として認められますので、領収書をもらっておくなどし、忘れずに確定申告で経費として計上しましょう。

※参考:不動産投資を行うと必要になる確定申告の基礎知識

 

節税対策の注意点

不動産投資で節税対策を考える際に、忘れてはならない注意すべきポイントがあります。

節税対策の前に「賃貸事業」「賃貸経営」だということを忘れない

不動産投資とは毎月の収入から借入返済・諸経費などを差し引いて収益を得る仕組みです。

しかし、物件を購入すれば自動的に収入が得られる訳ではありません。

同様に節税効果が得られる訳でもありません。

不動産投資とは、賃貸事業・賃貸経営であり、様々なリスクも伴います。

そのため、不動産投資の知識や経験のない初心者が、「不労所得で簡単に副収入が得られる」や「節税対策になる」といったメリットだけを説明する営業マンの言葉を鵜呑みにし、失敗につながってしまうのです。

節税効果は無限ではありません!

減価償却の元になる価格は土地価格が含まれず、建物の価格のみであり、減価償却期間が過ぎれば減価償却費はゼロになるため、限度があることに注意が必要です。

その後はどうなるのかというと、所得税が大きく増えます。

物件取得時に必要な登記費用や火災保険料などの経費の多くは初年度に経費化可能ですから、減価償却費+初年度の経費により、節税効果が一番大きいのは初年度となります。

減価償却期間が終了すると大変なことに

減価償却期間が終了すると、節税対策とは逆の効果?が発生します。

それは、減価償却費がなくなることで税務上は黒字に転換し、多くの所得税が発生します。

給与所得などと合算されるため、税率も上がり納税額も大きくなります。

さらに問題になるのが、減価償却費は「お金の支出なしに経費化できる」費用ですが、その逆の「お金の支出のある経費化できない費用」、融資の元金返済があるのです。

経費化できない融資の元金返済があるため、実際の収入よりも、所得税+融資の元金返済の方が多くなる状態が起き、キャッシュフローがマイナス(現金持ち出し)となるのです。

これは、融資の元金返済が減価償却費よりも多い状態になると発生する現象です。(「デットクロス」とも呼ばれています。)

融資の返済が残っている状況で起こる現象なので、不動産投資の黒字破綻とも言われています。

残ったお金で融資の元金返済ができない状況となれば、もはや節税どころではない問題です。

減価償却による節税効果は売却時に先送り?

減価償却費は、実際の支出を伴わない経費ですが、物件を売却する時にはデメリットにもなります。

例えば減価償却期間が終わり、4,000万円(土地3,000万円・建物1,000万円)で物件を売却したとします。

この場合、建物は減価償却により価値が0円になっていますので、0円の建物が1,000万円で売れたことになります。

つまり、売却によって1,000万円の利益が出たとみなされ、その利益に譲渡税が課せられます。

譲渡税は物件の所有期間によって短期譲渡(所有期間5年以下)と長期譲渡(所有期間5年超)に分けられ、短期譲渡の場合は約40%(約400万円)、長期譲渡の場合は約20%(約200万円)の税率です。

つまり、減価償却費による節税は、所得税の節税対策には効果がありますが、売却時の譲渡税が大きくなるのです。

また、譲渡税は分離課税のため、節税対策として減価償却などによる経費を多くしてマイナスをつくっても、譲渡益との損益通算はできません。

※参考:不動産投資による節税対策3つの落とし穴

節税に適した物件は収益が上がりにくい

中古物件は減価償却期間が短くなるのですが、新築と比べて建物が古いため、税務上の建物価格も低くなります。

建物価格が低いという事は、減価償却費も少ないため節税効果がありません。

では、なぜ節税効果が生み出されるのかと言うと、利回りが低ければ成り立つのです。

大きな節税効果を期待するためには、収入よりも経費が多くなければなりません。

つまり、収支がすごく良い訳ではないのです。

不動産投資による節税効果の意味合いとは、収入を増やすのではなく、所得税を節税しつつ資産を増やす方法と言えます。

既に多くの所得があり、納税額も高額になっている方が所得税を節税することにより、納税していた所得税の一部が手元に残るという効果です。

収支があまり良くなければ、そもそもの収入が大きく増える訳ではないので、高額所得者以外の方にはあまり大きな効果が生まれないのです。

よって、一般的には収益性と節税効果は両立できず、不動産投資で収入を手に入れる目的と、所得税の節税を同時に求めることには無理があるのです。

簡単に言ってしまえば、利益の多い人や企業が節税のために中古物件を購入し、減価償却費をそのまま経費計上することで、利益が減り、節税効果が得られるのです。

 

以上の注意点を理解すれば、不動産投資の節税対策が万能ではないことに気づきます。

しかし、上手に不動産投資で節税対策を行えば、節税効果があることも事実です。

では、どんな物件でも節税対策に効果的なのでしょうか?

 

節税対策に適した物件の選び方

不動産投資を行えば、どんな物件を購入しても節税対策になる訳ではありません。

物件選びを間違えると節税効果が得られない場合があります。

どんな物件が節税対策に向いているのか、次に物件選びのポイントを解説します。

土地価格割合が低い物件

土地価格は減価償却の対象にならないため、物件価格の内、土地価格の割合が低い物件を選ぶことがポイントです。

都内・駅近などの地価が高いエリアよりも賃貸ニーズが見込める郊外の方が、土地価格は低くなるため節税効果が大きいケースがあります。

例えば、価格5,000万円で築年数・利回りが同じ物件があったとします。

それぞれ土地建物の割合が、

Aは、土地価格3,000万円 建物価格2,000万円

Bは、土地価格1,000万円 建物価格4,000万円

だとすると、建物価格が大きいBの方が減価償却も大きくなり、節税効果と収益性も高くなります。

中古物件

新築よりも中古物件の方が法定耐用年数は短くなるため、年間の減価償却費が大きくなり、節税効果も大きくなります。

1棟アパートよりも区分所有マンション

土地建物の価格割合で言えば、「1棟アパート」 < 「1棟マンション」 < 「区分所有マンション」 の順で建物価格の割合が高くなりやすい傾向があります。

マンションよりも木造アパート

前述とは逆に、鉄筋コンクリートのマンションよりも木造アパートの方が法定耐用年数は短いため、物件価格に対する年間の減価償却費の割合が大きくなる場合もあります。

売主に相談して建物価格の割合を大きくしてもらう

売買価格における建物価格の割合を大きく(土地分を小さく)してもらうように売主と交渉する方法もあります。

つまり、減価償却の対象となる建物価格を大きくし、対象とならない土地分を小さくしてもらいます。

ただし、あまりにも不動産の時価や固定資産評価額など、根拠がある数値から大きく乖離していては否認されてしまう場合があります。

節税効果により好立地の不動産による資産形成が可能

好立地の人気物件は、利回りが低くなります。

はじめて不動産投資を行う方には、なかなか手に入れることが難しい物件ですが、高額所得者の方は節税対策を兼ねて資産形成を行うことが可能です。

好立地の物件は、価格が高く利回りが低いため、購入してからしばらくの間は収益を期待するのではなく、家賃収入で借入返済できれ良いと考えておけば、節税効果も相まって、安く好立地の物件を手に入れたことになります。

将来の資産形成目的を考えるのであれば、高額所得者には有効な手段とも言えます。

※参考:築20年以上の築古アパートお得な節税効果?

 

法人化による節税対策

前述の「節税対策の注意点」のように、不動産投資の節税対策には限度があります。

節税対策は継続的に効果があるものではなく、収入が増えれば当然に所得税は大きくなり、高額所得者の方には思うような効果が得られない場合があります。

その場合の対策として、法人を活用した不動産投資を検討しましょう。

特に課税所得が900万円を超える高額所得者の不動産投資は、法人を設立し、その法人にて不動産投資を行う方法(法人化)の検討をお勧めします。

法人税は課税所得が増えても一律

法人税は課税所得が増えても基本的に税率は同じです。

平成30年(2018年)には法人税の基本税率が23.2%へ引き下げられ、法人住民税や事業税などを含めた法人税の実効税率は、現在「29.74%」となりました。

つまり、法人税の実効税率は30%を切る時代になったのです。

個人の所得税率は、課税所得が900万円を超えると33%になるため、法人化を検討した方が節税になることがわかります。

必要経費の範囲が広がる

法人の場合、個人よりも必要経費の範囲が広がるため、節税効果はさらに大きくなります。

また、法人の所得をあなただけで得るのではなく、家族(妻や子など)を法人の役員にして報酬を支払う形にし、所得の分散による節税対策も考えられます。

将来の発展

将来に向けて複数棟所有するなど、不動産投資を発展させたいと考えている方にも法人化は有利です。

例えば、所得に応じて税率が上がる個人とは異なり、法人の場合は利益を出しても税率は一律のため、所得が増えれば増えるほど有利です。

また、副業ではなく、専業として発展させることも夢ではありません。

金融機関は事業に対しての融資を行いますので、会社組織にして経営を行う方が、資産の拡大や資金調達などにも有利に働きます。

※参考:個人の不動産投資家が法人化すべき課税所得額は?

 

まとめ

「不動産投資で節税できる」という言葉はウソではありません。

しかし、表面的な節税メリットばかりではなく、真実を理解する必要があります。

そもそも不動産投資による節税対策は、既に多くの所得があり納税も高額になっている方に向いている方法です。

目安として、所得税の課税所得が800万円から1,000万円以上になってからにし、そうでない方は、収益を増やす目的や、将来に向けた資産形成目的で不動産投資を考えるべきです。

その上で、節税効果と不動産投資におけるリスクのバランスを見て節税対策へと発展しましょう。

節税対策とは経費計上でマイナスをつくり所得税が戻ってくる仕組みです。

収入が増える訳ではないので、購入物件の収益が上がらなければ、お金は残りません。

このことを知らずに、意外と多くのサラリーマンの方が不動産投資をしている話をお聞きします。

不動産投資は、確かに大きな節税効果を生み出し、資産も手に入れることができる仕組みではありますが、リスクも潜んでいます。

節税効果のメリットばかりに気を取られず、営業マンに質問し、しっかりと説明を聞くようにして下さい。

また、営業マンの説明を鵜呑みにするのではなく、収支計画での節税効果をご自身でも確認することが大切です。

不動産投資のデメリットやリスクを説明し、あなたの目的や背景に応じて提案してくれる営業マンから物件を購入することも大切です。

※参考:年収2000万以上の高額所得者が選ぶべき不動産投資物件とそのエリアは?

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