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不動産投資で相続対策をする際に忘れてはいけない「認知症対策」

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相続対策や老後のゆとりある生活をめざすために資産形成や運用を検討する方が増えています。中でも、大きな効果が期待できる不動産投資は、節税対策や安定収入確保を目的として多くの方が取り組んでいます。同時に注目されているのが認知症対策などの健康管理です。体や脳が亡くなるまで健康でいられるという保証はどこにないため、資産をしっかりと守るためには、判断能力が低下した後の対策を立てておくことも重要です。

今回の記事では、認知症の主な症状と資産を防衛するための認知症対策について分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

人生100年時代!資産を守るために認知症対策が大切な理由

自分の資産を守るために知っておかなければならないのは、認知症の発症が認められると、「資産が凍結される可能性がある」ということです。

例えば、銀行口座の場合、口座の名義人が認知症であると認めると、口座は凍結されます。これは名義人本人の判断能力が低下し、詐欺などの被害により財産を失うことを避けるためです。

凍結されるのは銀行口座だけではありません。株式などを運用している証券会社の口座も同様に、名義人が認知症と判明すれば凍結されます。仮に資産運用を自分ひとりで行っていた場合、口座のお金を引き出したりする手段は無くなります。

不動産投資を行っている場合にも不自由が生じます。本人に適切な判断能力がないため、新たに入居者との賃貸借契約を結ぶことはできず、物件を売却するための売買契約も結べません。もちろん、物件の購入や、リフォームするためのお金を引き出すことや融資も受けることはできません。

このように、認知症の発症が認められてしまうとアパート・マンション経営をはじめとする資産運用や管理などに支障をきたし、資産を管理・継承するご家族が大変なことになってしまうリスクがあるのです。

 

認知症とは?

認知症とは、単なる物忘れの病気ではなく、判断能力の低下などにより日常生活を正常に送ることができなくなる病気です。厚生労働省は認知症を次のように定義しています。

生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」(厚生労働省より)

具体的な主な症状は、「家族の名前を忘れる」「料理ができなくなる」「服の着脱ができなくなる」などが代表的で、記憶障害のほかに状況把握や人間関係がわからなくなる見当識障害、あるいは判断能力の低下といった症状が現れます。

後天的原因により生じる知能の障害であるため、知的障害(精神遅滞)とは異なりますが、認知症では善悪の区別ができなくなるというケースも見られます。

認知症の原因は、脳の神経細胞が破壊されたり減少したりすることとされており、特に高齢者に多い症状ですが、若い人でも発症しうる病気です。認知症の原因として、以下のようなものが挙げられます。

・加齢

・アルツハイマー病

・レビー小大病

・前頭側頭型認知症

・血管性認知症

・甲状腺機能低下症

・慢性硬膜下血腫

・脳腫瘍

このように、脳に障害を受けるような病気にかかれば、若い人でも認知症を発症する可能性があるので、注意が必要です。

認知症の患者数は年々拡大している

認知症を引き起こす原因は様々ですが、多くの場合は加齢によるものです。そのため、高齢化が進む中、国内の認知症患者数は年々増えています。

厚生労働省が発表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要」によると、2012年には462万人だった認知症の有病者数は、2025年には700万人ほどになるとしています。

また、認知症を根本的に治療したり発症を防ぐ方法がないことも、認知症が増えている理由のひとつです。薬物治療により進行を遅らせることしか手立てがないのが現状です。

 

認知症対策として成年後見制度でできること

では、認知症にかかった本人の口座のお金は、一切引き出すことができなくなるのでしょうか。

実は名義人本人が管理できなくなった銀行口座のお金は、「成年後見制度」という支援制度を利用することで、名義人本人以外の者が管理できるようになります。また不動産投資をしている場合にも、成年後見人が本人に代わって物件を売却することが可能です。

成年後見制度とは、判断能力が低下した成人の代理として、後見人などが適切な契約や財産管理を行う制度のことです。

すでに認知症となった人のかわりに財産や権利を適切に守る制度を「法定後見制度」、判断能力が低下することに備えてあらかじめ後見人を決めておくことを「任意後見制度」と言います。

自分が認知症となった場合に備えて、親族のなかの誰かに成年後見人になって欲しい場合は、任意後見制度を利用するのが一般的です。そのような親族がいない場合は、家庭裁判所が適切な人物を選任してくれます。

成年後見人は親族などが希望することができますが、必ずなれるというわけではありません。成年後見人は家庭裁判所が適格者を選任することになっているため、資産の大きさによっては、司法書士や弁護士が選任されるケースもあります。

なお、成年後見人は認知症となった名義人の口座のお金を自由に管理できるというわけではありません。たとえば証券会社の口座のお金で資産運用することはできず、また、不動産を売却する場合には裁判所の許可が必要になります。

さらに相続に関することも成年後見人が自分の判断で行うことはできません。この場合には弁護士などへの依頼が必要となります。

 

認知症対策では民事信託(家族信託)がおすすめ

認知症になった人の財産管理を行う方法としては、成年後見制度のほかに民事信託(家族信託)という制度を利用することができます。成年後見制度との大きな違いは、「裁判所の管理下に置かれない」という点です。もう一つの違いとして、成年後見制度は本人が認知症になったら効力が発生するのに対し、民事信託(家族信託)は、認知症になる前から財産管理を託すことができます。つまり、意思能力があるうちからご家族に資産管理を託し、時間をかけて引き継ぐことも可能です。

民事信託のメリット

民事信託は家族信託とも呼ばれますが、認知症となった人の家族のための制度と言えます。成年後見制度があくまでも認知症となった本人のための制度であるのに対して、民事信託は認知症となった人の財産を家族のために管理する制度となります。そのため、民事信託では、成年後見制度では不可能だった「資産運用」を行うことができます。

たとえば認知症となった者が保有している投資用不動産の賃貸借契約を新たに結んだり、修繕工事、売却なども自由に行えます。これらは成年後見制度では裁判所の許可が下りない限り、自由に行うことができない事項です。

投資用不動産の運用によって得られる賃料は、「受益者」と呼ばれる者が受け取ります。民事信託は認知症となった「委託者」の財産を「受託者」が管理し、そこで得られた利益は「受益者」が受け取ります。

たとえば認知症となった委託者の妻を受益者とし、その子が受託者として財産を管理するといった形になります。つまり民事信託で認知症となった者の資産運用は受益者のために行っているということがわかります。

民事信託のデメリット

なお、民事信託にもデメリットがあります。それは、本人が認知症になる前に信託契約を結ばなければならないという点です。

成年後見制度は認知症になったあとでも、財産管理をする後見人を選任できます。しかし民事信託の場合、本人が認知症となり判断能力が低下してしまうと、新たな信託契約を結ぶことはできなくなります(※もちろん、認知症となる前に契約締結をした民事信託はそのまま効力を持ちます)。

また、民事信託により資産運用を行うことで受益者が利益を得られますが、損益通算ができないというデメリットもあります。

不動産投資では家賃収入よりも減価償却費やローン返済の元本部分などの経費が上回ることで節税ができます。しかし、民事信託により運用する投資用不動産が赤字を計上しても、受益者の所得と合算することができないので、節税効果は得られないということになります。

さらに、民事信託で運用している資産から年間で3万円以上の収入があれば、税務署に「信託計算書」と「信託計算書合計表」を提出する必要があります。このほか、不動産所得に関しては、確定申告の際に信託財産に関する明細書も添えることになります。

このように書類作成の手間が増えることも、民事信託のデメリットと言えるでしょう。

 

まとめ

認知症は誰にでも発症する可能性がある病気です。一度発症すると、現時点では根本から回復するための治療法がないので、元の生活を送ることはできなくなる可能性が高いです。そのため、相続の前に起こり得る認知症対策をしっかり考えておかなければ、ご家族に大きな負担がかかってしまう可能性があります。特にアパートやマンションなどの不動産を所有している方は、お金を引き出すことや賃貸経営を行うことに支障をきたします。財産を守るための相続対策という目的が達成できない可能性もあります。

このように、財産を多く所有している方は認知症の発症が大きなリスクにもなり得るため、事前に自分の資産を守り継承するための認知症対策を考えておくことがとても大切になります。成年後見制度を利用するのもよいのですが、資産運用を継続できるという点では民事信託にもメリットがあるので、ぜひ検討してみてください。

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