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不動産投資の収支計画で知っておきたい専門用語と目安

 2019/09/17 収支計画
この記事は約 8 分で読めます。 44 Views

不動産経営では、適切な収支計画を立てることがとても重要ですが、収支計画をチェックするためには、不動産投資にかかる専門用語の意味や使い方を正しく理解しておく必要があります。今回は、不動産経営における収支計画を確認する際に必要となる専門用語についてわかりやすく解説していきますので、大家さんや不動産投資家の方などはぜひ参考にしてみてください。

 

専門用語を覚えて不動産投資の収支計画をチェックしよう

不動産投資の中でも役に立つ代表的な専門用語には次の8つが挙げられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。

①実質利回り(NOI利回り)

②正味現在価値(NPV:Net Present Value)

③内部収益率(IRR: Internal Rate of Return)

④負債支払安全率(DSCR:Debt Service Coverage Ratio)

⑤税引前/税引後キャッシュフロー(BTCF:Before Tax Cash Flow /ATCF:After Tax Cash Flow)

⑥損益分岐入居率(BER:Break-even Ratio)

⑦資本回収期間(PB:Pay Back Period)

⑧借入金割合(LTV:Loan To Value)

 

実質利回り(NOI利回り)

不動産経営におけるNOI(Net Operating Income)とは、営業純利益をあらわし、満室状態を想定した家賃収入に空室となる割合を加味し、さらに維持管理経費などの支出を差し引いた後の実質的な収益となります。ネット利回りとも言われています。

従来から、賃貸経営における利回りは、物件購入価格に対する年間満室家賃収入の割合を示す「表面利回り」(=グロス利回り)が使われてきました。しかし、賃貸用物件では満室状態が永久に続くことはほぼなく、また、正確な収益は家賃収入から維持管理経費などの支出を差し引いて求める必要があります。さらに、物件購入にかかる投下資金は、物件の購入価格だけではなく購入にかかる諸経費も加えて算出しなければなりません。

つまり、表面利回りは一応の目安にはなるものの、投資用物件の収益性を正確に表すには精度が劣るという問題がありました。

投資用物件の収益性について、より実態に即した形で算出したのが実質利回り(NOI利回り)です。

NOI利回り(%)={満室家賃収入額×(1-空室率)-維持管理経費}÷(不動産の購入価格+不動産の購入にかかる諸経費)×100

例えば、諸経費込みで8,000万円のマンション(10室)を購入、家賃8万円/1室で、維持管理経費が20万/月とすると、

NOI利回り(%)={80万×12ヶ月×(1-0)-20万×12ヶ月}÷8000万×100=9%

空室が2室/年平均となると、

NOI利回り(%)={80万×12ヶ月×(1-0.2)-20万×12ヶ月}÷8000万×100=6.6%

 

正味現在価値(NPV)

不動産経営における正味現在価値(NPV)は、投資が将来的にどのくらいの収益を生み出すのかをあらわす指標です。将来受け取る現金を現在の価値に換算したものを現在価値(PV:Present Value)といいます。例えば、銀行に預金している場合は、将来受け取る現金価値は、現在の現金価値と比べて利息分ほど異なります。この場合、将来受け取る現金を現在の価値に換算するため、割引率というものを使用します。

PV=将来受け取る金額/(1+利率・割引率)^n年後

すなわち、投資によって将来生み出されるキャッシュフローの価値を割引率により現在の価値に換算したものがPVとなります。NPVは、そのPVからさらに投資額を差し引いて求めたものです。NPVがプラスであれば投資すべき、逆にマイナスであれば投資すべきでないと判断する目安になります。NPVは、数値が大きいほど期待収益が見込めることを意味します。

NPV=PV-投資額

例えば、

物件A:PVが5,800万、投資額が6,000万だとすると、NPV=5800万-6000万=-200万

物件B:PVが6,400万、投資額が6,000万だとすると、NPV=6400万-6000万=400万

→NPV>0である物件Bに投資すべきである。

 

内部収益率(IRR)

内部収益率(IRR)は、「投資から得られる将来のキャッシュフローの現在価値」と「投資額の現在価値」がイコールになる場合の割引率(将来受け取る金銭を現在価値に換算するときの割合)で、投資判断に使うための指標であると説明されることがあります。

わかりやすく言い換えると、「投資から得られる将来のキャッシュフローの現在価値」と「投資額の現在価値」の差を求めることにより、将来的な利回りを逆算する指標です。投資から将来得られると想定される収益の利回りを計算したものと理解しておけばよいでしょう。

例えば、IRRが資本コスト(企業が資金調達に要するコスト、融資利息・株主配当など)を上回っていれば投資すべき、逆に下回っていれば投資すべきでないと判断する目安になります。

 

負債支払安全率(DSCR)

不動産経営における負債支払安全率(DSCR)は、不動産投資におけるローン返済余力をあらわします。具体的には、ローン返済金に対する営業純利益(NOI)の比率のことであり、次の計算式から求めることができます。

負債支払安全率(DSCR)=営業純利益(NOI)÷ローン返済額

この場合のローン返済金額には、元本と利息を含みます。不動産投資における営業純利益(NOI)は、満室状態を想定した家賃収入に空室となる割合を加味し、さらに維持管理経費などの支出を差し引いた後の実質的な収益です。一方、ローン返済金額は、毎年返済する元本分と利息の合計です。この両者の差、すなわち「営業純利益(NOI)-ローン返済金額」がプラスであれば、その数値が手元に残る現金(キャッシュフロー)となります。逆に、マイナスであれば赤字状態となり、現金が持ち出しになってしまいます。

例えば、1年間の営業純利益(NOI)が1,190万円で、年間ローン返済額が850万円の場合は、負債支払安全率(DSCR)=営業純利益(NOI)1,190万円÷ローン返済金額850万円=1.4となり、今後ローン返済金額が1.4倍まで上がっても不動産経営を維持することが可能と判断できます。DSCRが1.0を境として、1.0超でキャッシュフローが蓄積し、1.0未満で赤字持ち出しになります。一般的に、安定した不動産経営は、DSCRが1.3以上とも言われます。

 

税引前/税引後キャッシュフロー(BTCF/ATCF)

税引前/税引後キャッシュフロー(BTCF/ATCF)は、不動産経営で手元に残る現金をあらわします。具体的には、営業純利益(NOI)からローン返済金を差し引いて求めます。

キャッシュフローは、税金が差し引かれる前の税引前キャッシュフロー(BTCF)と税金が差し引かれた後の税引き後キャッシュフロー(ATCF)があります。

税引前キャッシュフロー(BTCF)=満室家賃収入額×(1-空室率)-維持管理経費-ローン返済額

 

税引き後キャッシュフロー(ATCF)=満室家賃収入額×(1-空室率)-維持管理経費-ローン返済額-所得税・住民税

 

損益分岐入居率(BER)

損益分岐入居率(BER)は、不動産賃貸経営の健全性を示す指標で、不動産経営の維持管理経費とローン返済金額の合計額を満室家賃収入額で除して求めた比率です。

損益分岐入居率(BER)=(維持管理経費+ローン返済額)÷満室家賃収入額

不動産経営における維持管理経費とローン返済額は、毎月必ず支払わなければならない費用となるため、可能総収入額(満室家賃収入額)に占めるこれらの経費の比率(BER)以上の入居率が必要になります。赤字に陥らない空室率の上限は、次の式から求めることができます。

空室率の上限=1-損益分岐入居率(BER)

BERは、その値が小さいほど家賃下落や空室増加の場合でも、賃貸事業収支が赤字となるリスクが小さいことを示しています。

資本回収期間(PB)

資本回収期間(PB)は、不動産経営で毎年得られるキャッシュフローによりどのくらいの期間で投資資金が回収することができるかを示した指標で、次の式で求めます。

資本回収期間(PB)=投下した自己資金額÷1年間に得られるキャッシュフロー

例えば、総投資額4,000万円、うち自己資金800万円の不動産投資で、毎年得られるキャッシュフロー(維持管理経費・ローン返済金額・税金控除後)が160万円であれば、PB=投下した自己資金額800万円÷1年間に得られるキャッシュフロー160万円=5年間で回収できることになり、この場合資本回収期間(PB)は5年間となります。

 

借入金割合(LTV)

不動産経営における借入金割合(LTV)は、不動産の物件価格に対して借入額がどのくらいの比率かをあらわす指標で、次の式から求めます。

借入金割合(LTV)=物件購入のための借入額÷不動産の物件価格

不動産の物件価格は、評価時点の違いにより数値が異なりますが、物件購入時点や評価実施時点における評価額が多く使用されています。物件購入時点の評価額を使用する場合は、物件購入のための借入額との差額が自己資金の額をあらわします。LTVは、0.8(80%)以下が理想とされています。

 

まとめ

不動産経営における専門用語は一見すると難解ですが、安定した賃貸経営を進めていくために覚えておいたほうが便利で、実際役に立つものです。専門用語といっても、その意味や考え方を理解すれば、それほど難しくはありません。ぜひ今回の記事を契機に、安定した不動産経営を行うため、一層の研鑽を進めてみてはいかがでしょうか。

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