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価格下落に備えた不動産投資の出口戦略(売却)に欠かせない7つのポイント

 2018/12/12 売却(出口戦略)
この記事は約 14 分で読めます。 154 Views

不動産投資による出口戦略(売却)を考えた場合、物件を購入した時よりも「高く売れるタイミング」で売却できることが理想です。

しかし、過熱した不動産事業に対する過剰融資への警戒感をはじめ、不適切融資などの影響もあり、不動産投資への融資が厳しくなった状況下において、場所によっては不動産価格の下落が想定されます。

このようなタイミングでは、売却益を狙った不動産投資をはじめることは簡単ではありません。

特に、副業で不動産投資を行うならば、安易な売却益狙いの不動産投資は注意が必要です。

不動産投資での出口戦略における考え方は色々あるかと思いますが、不動産価格が下落する時代において、次のような7つのポイントを意識しておくことをお勧めします。

  1. 売却目的の明確化
  2. 不動産投資におけるメリットの損益分岐点をチェック
  3. 売却するベストなタイミングは?売却益のシミュレーション
  4. 売却のタイミングによる譲渡税に注意
  5. 減価償却期間が終了するタイミング
  6. 融資状況も考慮する
  7. 売却しない出口戦略(長期保有)

不動産価格が値上がりするタイミングでは、時間が経過すれば自然と値上がりし、売却益を得ることができます。

しかし、不動産価格が下落するタイミングでは、そう簡単にはいきません。

失敗しない不動産投資を実現するためにも、事前にしっかりと出口戦略(売却)を計画しておくことが非常に重要です。

 

1.売却目的の明確化

まずは、あなたの売却目的を整理することが大切です。

売却目的がキャピタルゲイン(売却益)狙いなのであれば、不動産価格が下落しているタイミングでは、売却すべきではありません。

しかし、大きな売却益を得る目的ばかりでなく、戦略的に売却したほうが良いケースもあります。

例えば、不動産投資に行き詰り、被害が大きくなる前に売却するならば、価格下落時代においては多少の損失ならば早く売却して精算した方がベストです。

躊躇していると、どんどん価格が下がって被害が大きくなるからです。

複数棟所有している方は、安定経営できている物件でも売却により現金化し、一番資産価値の高い物件の債務圧縮(繰り上げ返済)により収益(キャッシュフロー)を改善して将来に備えておくことも効果的です。

また、節税効果が薄くなった物件を買い換える(組み替える)など、先々の不動産市況を加味しながら、長期的な視点により売却を行った方が有利なタイミングもあります。

 

2.不動産投資におけるメリットの損益分岐点をチェック

あなたが所有物件を売却する際、いくら以上で売却できれば不動産投資のメリットを得ることができたのか?という損益分岐点をチェックしておくことをお勧めします。

少なくとも借入残高以下の価格では、売却代金により借り入れが全額返済できません。

よって、

「売却価格>借入残高」

という、簡易な計算による売却価格が目安の一つです。

特に、「不動産投資に失敗して早く精算してしまいたい」と考えている方に多く見受けられる最低限の売却価格です。

しかし、不動産投資におけるメリットがしっかり得られたのかどうか確認する為には、損益分岐点についてもう少し詳しくチェックする必要があります。

それは、

「売却時の借入残高 + 購入時の自己資金額 - 今までの手取り収入累計 - 節税メリット累計」 ・・・・・ (A)

により計算できます。

この金額(A)が損益分岐点となり、売却価格から、この金額を差し引いた額が損益の目安です。

まとめると、

「売却価格」 - (A)

で計算し、この差がプラスであればメリット(利益)、マイナスであれば損害相当と言えます。

 

例えば、次のようなケースで計算してみます。

【モデルケース①】

売却価格:10,000万円

借入残高:7,000万円

購入時の自己資金:2,000万円

売却時までの手取り収入および節税メリット累計:1,000万円

の場合、

売却価格10,000万円 - (売却時の借入残高7,000万円 + 購入時の自己資金2,000万円 - 売却時までの手取り収入および節税メリット累計1,000万円) = 2,000万円

となります。

もっと詳しく説明すると、実際の売却時における手取り額は(譲渡税は考慮せず)、

「売却価格」 - 「借入残高」 = 3,000万円

となりますが、物件購入時に自己資金を利用しているため、

3,000万円 - 自己資金2,000万円 = 1,000万円

が、実際の売却益と言えます。

さらに、購入時から売却時までの家賃収入や節税効果により受け取れた収益が1,000万円ありますので、

売却時の手取り収入 1,000万円 + 売却時までの手取り収入および節税メリット累計1,000万円 = 2,000万円 のメリット(利益)を受けたという考えです。

ここまで加味して計算することにより、不動産投資を行っていた期間全体での利益・損害を確認することができます。

このケースでは、自己資金2,000万円を回収し、さらに2,000万円のメリット(利益)を手にしたことになるため、2,000万円で4,000万円のメリットを受けた(自己資金の2倍)ことになります。

 

【モデルケース②】

売却価格:7,500万円

借入残高:6,500万円

購入時の自己資金:1,500万円

売却時までの手取り収入および節税メリット累計:500万円

のケースでは、

売却価格7,500万円 - (売却時の借入残高6,500万円 + 購入時の自己資金1,500万円 - 売却時までの手取り収入および節税メリット累計500万円) = 0万円

となります。

このケースでは、所得税や相続税対策としての節税効果まで加味しているので、何一つメリットがない不動産投資だったということがわかります。

まさに不動産投資を失敗した結果です。

さらに、不動産投資を行うことで、あなた自身の時間を費やしています。

目に見えない時間というコストは損したことになります。

授業料・勉強代と諦められる程度の損害であれば良いのですが、売却しても借り入れが残り、その返済に苦しむなどという事がないようにする必要があります。

このようなケースにならないように、不動産投資とはリスクのある「事業・経営」であることを認識し、事前にしっかりと検討しておくことが大切なのです。

 

3.売却するベストなタイミングは?売却益のシミュレーション

前記の【モデルケース①】で、もう少し時間が経過しれば、もっと利益が出ると考えて数年後に売却しようとしたところ、次のような状況になりました。

売却価格:7,000万円

借入残高:6,000万円

購入時の自己資金:2,000万円

売却時までの手取り収入および節税メリット累計:1,300万円

計算すると、

売却価格7,000万円 - (売却時の借入残高6,000万円 + 購入時の自己資金2,000万円 - 売却時までの手取り収入および節税メリット累計1,300万円) = 300万円

となります。

数年前より売却による利益の見込みが少なくなってしまったため、もう少し様子を見ていたところ、次のような状況になってしまいました。

売却価格:6,000万円

借入残高:5,500万円

購入時の自己資金:2,000万円

売却時までの手取り収入および節税メリット累計:1,400万円

計算すると、

売却価格6,000万円 - (売却時の借入残高5,500万円 + 購入時の自己資金2,000万円 - 売却時までの手取り収入および節税メリット累計1,400万円) = ▲100万円

となります。

この状況では、売却価格6,000万円で借入残高5,500万円を返済できるため、後々の借入返済に苦しめられるリスクはありませんが、不動産投資を行った結果が▲100万円という、損した結果です。

もっと儲かるかもと思い売却のタイミングを逃すと、このような結果になる可能性があるのです。

なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

それは、

  • 年数経過とともに家賃の下落・空室の発生
  • 年数経過とともに修繕費の増大
  • 不動産市況(価格)の変動

などが要因です。

年数経過とともに、家賃下落や空室の発生で手取り収入累計が伸び悩み、大規模修繕が発生したため、一時的に手取り収入累計が少なくなり、さらに不動産市況が冷え込み、価格が下がってしまったタイミングで売却しようとしれば、メリットが少なくなります。

その防止策として、将来の家賃下落や空室率、修繕費など、不動産市況を加味しながら定期的にシミュレーションを行っておくことが大切です。

そして、想定売却価格と手取り収入累計で借入残高の返済ができ、自己資金相当以上の売却益が手に入るベストなタイミングを把握しておきましょう。

併せて、空室対策や適切な修繕やリフォームを行い、収益維持・向上を意識した賃貸経営を行うことで、資産価値や利回りを維持できるため、経過年数による価格下落を抑えることにつながります。

つまり、安定経営を意識した不動産投資を行っておくことが、出口戦略にも有効なのです。

 

4.売却のタイミングによる譲渡税に注意

基礎知識として、売却のタイミングにより譲渡税が異なることを理解しましょう。

個人で不動産投資を行った場合、売却した年の1月1日現在で物件取得後の所有期間5年以下と5年超で譲渡税率が変わります。

「5年以下」の売却は短期譲渡となり、譲渡税率は39%、「5年超」の場合は長期譲渡となり、譲渡税率は20%になります。

【例】

2010年に5000万円のアパートを個人名義で購入した場合(長期譲渡)

⇒譲渡税率は20%、譲渡税:1000万円

2016年に5000万円のアパートを個人名義で購入した場合(短期譲渡)

⇒譲渡税率は39%、譲渡税:1950万円

 

個人での出口戦略を考えるならば、5年以下と5年超では譲渡税が約2倍近く異なりますので、この譲渡税の差も考慮しておくことが大切です。

不動産価格の動向に大きな値下がりが予測されないのであれば、個人で不動産投資を行った方は5年以上の賃貸経営を経てから売却したほうが有利と言えます。

一方で、売却のタイミングをシミュレーションすることにより、取得後5年以内に売却した方が良い場合には、個人よりも法人化による不動産投資を行った方が譲渡税は低くなります。

なぜなら、法人の場合、売却益に対しても通常の法人税の計算となり、譲渡税が別に計算されることがないからです。

まとめると、5年以内の売却は法人、5年超は個人の方が税率は低くなります。

例えば、安く物件を購入することや、空室などで行き詰った物件を安く購入し、リノベーションなどで収益や資産価値を向上させることができる場合、購入時よりも高く売却できる可能性があります。

このような物件を見つけ、短期間で物件を売却して売却益を得る出口戦略を考えるならば、法人化が有利となるのです。

但し、価格上昇時代とは異なり、安く購入できる物件情報の入手やリノベーションのノウハウが必要となるため、初心者向けではない方法とも言えます。

また、反復して売却を行うのであれば、宅地建物取引業の免許が必要となりますので注意して下さい。

 

5.減価償却期間が終了するタイミング

節税効果も期待できる不動産投資ですが、購入した物件の法定耐用年数が経過して減価償却費の計上がなくなってしまった物件は、所得税の発生が大きく手取り収入が少なくなります。

所得税の節税効果はお金の支出がない減価償却費があるためです。

その減価償却費がなくなることで、税務上の所得は大きく黒字化し、所得税も多く納税しなければなりません。

さらに、他の収入も合算されるため、特に高額所得者は税負担が大きくなり、収支が悪化します。

場合により所得税が多く発生し、収支上の収入と支出が逆転する現象(デッドクロス)により、黒字倒産リスクが発生します。

そのため、減価償却期間が終了したタイミングで売却し、その資金で新たな物件を購入するなど、物件の入れ替えを行う方も多いのです。

複数の物件を所有している方は、築浅物件の借り入れを圧縮(繰り上げ返済)するなど、資産全体で収支計画を考慮しながら出口戦略を考えることも大切です。

※参考:アパート・マンション経営の黒字倒産回避7つの方法!

※参考:不動産投資で節税対策するなら知っておきたい所得税の仕組み

※参考:サラリーマンが不動産投資で節税できる理由

 

6.融資状況も考慮する

不動産市況と同様に、金融機関による融資状況も出口戦略に影響があります。

一般的に、不動産価格が上がるタイミングとは、金融機関の不動産に対する融資が活況なタイミングと同様になります。

なぜなら、融資を受けて不動産投資がしやすいタイミングとも言え、多くの方が物件を求めます。

すると、「需要>供給」のバランスとなり、不動産投資の価格も上がるのです。

一方で、融資が厳しい状況では、購入者が減ってしまいます。

あなたが売却する物件を購入したい人がいても、融資がつかない状況では購入できないからです。

すると、「需要<供給」のバランスとなり、価格が下落するのです。

しかし、価格が下落しても融資が厳しい状況では、あなたか安く物件を購入しようとしても融資が受けられず買えないという結果も起こり得ます。

つまり、価格も値動きは融資状況も影響するため、短期的なスパンで「安く買って高く売る」という単純な不動産投資は簡単ではないのです。

副業で不動産投資を行うならば、このような市場の動向を早期に入手することも難しさがありますので、長期的なスパンで出口戦略を考える不動産投資がお勧めなのです。

 

7.売却しない(長期保有)

不動産価格の下落が想定される場合、今すぐ売って一時金を手にする必要性がないのであれば、所有しつづける選択もあります。

売却しない出口戦略です。

将来も十分な家賃収入による収益が得られると想定できるならば、物件を「所有しつづける」方がメリットが大きい場合があります。

なぜなら、売却してしまえば確かに大きな一時金が手に入るかもしれません。

しかし、それ以上の収益を生み出すことはありません。

一方で、長期所有による安定収益が確保できるならば、物件を所有している限り、継続的に安定収益を手にすることができます。

借り入れは家賃収入で完済でき、建物が古くなっても構造体が利用可能であれば、新築コストよりも安い「フルリノベーション」も可能です。

建物が使えなくなっても土地は残ります。

この土地を売却するも良し、新築のアパート・マンションに建て替えるも良しです。

コイン駐車場やトランクルームなど、その時のニーズやトレンドに合わせて土地活用が可能です。

また、借り入れのない資産を所有していることは、あなた自身の与信もUPしているため、この資産を担保に新たな物件を取得しやすくなります。

そもそも、新築や築浅の鉄筋コンクリート造のマンションならば長期所有に向いています。

「駅近」「入居者ニーズが高い」「生活利便性が高い」などの優れた立地の場合、土地を更地にしても資産価値や利用価値は高いのです。

収益性の良い物件や、資産価値の高い物件を選んで不動産投資を行っておけば、長期に安定収益が確保できるとともに、売却時も売りやすく、良い条件で売れる可能性が高まります。

金融資産と比べて不動産は流動性が低いため、そもそも売却による一時金狙いよりは、長期運用を念頭に置いた運用方法の方が、なじみが良いのです。

 

まとめ

あなたの不動産投資が成功したのか否かは、節税効果や安定収益の確保など、不動産投資の目的が達成できたかどうかです。

そのためには、価格下落の時代において、売却せざるを得ない状況になっても損しないように、事前に安定経営を意識した不動産投資をすべきです。

何もしなければ建物は年々劣化して価値は低下するため、購入時点から出口戦略を踏まえて不動産投資を行うことが大切です。

なぜなら、将来売却できる価値のある不動産を購入することになるので、結果として資産価値が高く、安定経営を手に入れることにもつながります。

例えば、資産価値の高い物件選び、適切な修繕、さらに家賃の下落や空室を低減できる優秀な管理会社(プロパティマネジメント)をパートナーにすることで、物件価値を維持することができるとともに、安定収益を得ることができ、1円でも高く売却するための大切な要素です。

しかし、最初から何年後かに売却して一時金を得る目的の不動産投資は、不動産価格が下落するタイミングでは注意が必要です。

売却益(キャピタルゲイン)狙いの不動産投資は、価格上昇時代に成り立つ不動産投資の形でもあり、不動産投資の本質的な「賃貸事業」「賃貸経営」という意味合いとは異なる視点だからです。

売却益(キャピタルゲイン)狙いも、売却のタイミングまで長期的なスパンで考えておく必要があり、その間の安定経営(賃貸経営)が重要なのです。

そして、どのタイミングで売却することがベストなのか定期的に収支計画をチェックしておくことも、出口戦略(売却)の大切な要素です。

まとめると、出口戦略(売却)を考えておくことは、安定経営をする上でも大切な要素となり、安定経営をするためにも、将来の出口戦略(売却)を考えておくことが大切だということです。

不動産価格は変動します。

売却益をメインの目的としない不動産投資を行っておき、将来値上がりのタイミングが来た時に売却を検討すれば良く、もし高く売れたらラッキーと思うくらいの方が、副業での不動産投資には適しています。

時代や市況に合わせて収支計画を見直しながら、出口戦略(売却するのか、しないのか)を考えることが大切です。

※参考:賃貸経営は物件をより高く売却するための4つの視点が重要!

※参考:サラリーマンの将来に備えた不動産投資は長期所有がお勧め

※参考:不動産投資は売却までの流れ(出口戦略)を考えた物件選びが重要

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