区分所有か?1棟所有か?どちらがいいか?

初めての不動産投資で、区分所有か?1棟所有か?どちらがいいのか悩むところではないでしょうか?
好みの問題もあるかと思いますが、区分所有で不動産投資を行っている方、1棟所有で不動産投資を行っている方、それぞれメリットを話されており、初めて不動産投資をする方にとって、一体どっちが良いのか、ますます悩むところですね。
はたして、どちらがいいのでしょうか?
Contents
区分所有か?1棟所有か?メリット・デメリットの比較
まず、それぞれの特徴や違い(メリット・デメリット)を理解することから始めてはいかがでしょうか?
区分所有の不動産投資とは、分譲マンションと同様に1戸(1部屋)ずつ取得でき、その部屋を賃貸する方法です。
1棟所有での不動産投資とは、まさに土地・建物を1棟丸ごと取得することになります。
価格的には、区分所有(マンション)<1棟所有(アパート)<1棟所有(マンション)
となり、初めて不動産投資をするならば、価格的に区分所有マンションが一番低く、チャレンジしやすいです。
価格面での投資のしやすさは、区分所有での不動産投資最大のメリットとも言えますが、本当にそれだけで選んで良いのでしょうか?
それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身が想い描く不動産投資の「目的」に合っているか検証することが重要です。
それでは、初めて不動産投資を行う方にとっても取り組みやすい規模の「区分所有マンション」と「1棟アパート」のケースで比較します。
区分所有マンションのメリット
1.比較的少ない金額から不動産投資が始められる
やはり、区分所有マンション最大のメリットは少額な資金で不動産投資が始められることです。
中古物件をはじめ、1000万円以下の物件も多数あります。500万円以下の物件も十分探すことが可能です。
手元資金や少ない借入でも始められ、借入による不安感も少ないと言えますので、初めて不動産投資を行う場合、まずは区分所有マンションで勉強し、1棟所有へとステップアップを考える方もいます。
2.不動産投資しやすいという事は、売りやすいという事でもある(流動性が高い)
そもそも不動産は、決して売却しやすい(流動性が高い)とは言い難い投資先です。しかし、区分所有マンションは少額で不動産投資をはじめやすく、逆に売りやすいという事でもあります。
ただし、売りやすければ流通量も多くなるため、選ばれる物件にしておくということが大切です。
つまり、購入時の物件選びが重要だという事です。
賃貸として活用し、売却または自宅としての自己利用等、複数の選択肢があるのもメリットと言えます。
3.超一等地にも物件が存在する
区分所有マンションの場合、超一等地にも投資物件として存在します。
超一等地の土地は再開発が進み、地価も高いことから高層利用されるため、投資物件としては区分所有マンションが存在します。
しかし、アパートはほぼ存在しません。
4.リスク分散ができる
1棟アパートと比較し、同じ金額の投資をするならば、区分所有マンションは複数戸取得することができます。
例えば、6戸のアパート1棟に投資するならば、区分所有マンション6戸を取得するという事も考えられます。
その際、様々な地域・立地の物件をバラバラに6戸取得することで、大規模災害やマーケットの変動等のリスクに対応しやすくなります。
万が一、ある地域で大災害が起こってもダメージを受けるのは1戸であり、その他の5戸分は問題なく運用できるという事です。
リスクの分散投資、つまりポートフォリオという考え方です。
同様に、区分所有している建物で万が一事故や事件が起き、建物全体のイメージや価値が損なわれた場合でも、分散投資していれば他の区分所有マンションには影響がありません。
好立地でも、区分所有マンションならば何億もの投資にはならないため、全国の好立地にある区分所有マンションを徐々に増やし、ポートフォリオを図った不動産投資も考えられます。
5.共用部分の管理が不要
区分所有マンションの場合、共用部分の修繕等は建物全体の管理組合が行います。
修繕積立金が必要になりますが、管理組合が修繕計画に基づき管理・修繕するため、所有者ご自身は、部屋の内部のみ管理すれば良く、入居者が住んでいれば手間がかかりません。
1棟アパートのメリット
1.単独所有の土地は残る
区分所有マンションの場合、土地は持分所有(敷地権)となりますが、1棟アパートの場合は土地・建物を丸ごと取得することになります。
つまり、ご自身単独所有の財産形成ができます。
災害・火災等で建物が倒壊してしまっても、土地という資産が残ることが1棟アパートの大きなメリットです。
長期にアパート経営を行い、土地という財産が将来的に残ることは、将来に向けた資産形成最大のメリットでもあります。
土地は駐車場等の利用をしない限り収益は生み出しませんが、自宅用地やアパート用地として活用できる選択肢があるため、売却しやすくなります。
建て替えの場合、今度は建物代金のみを準備すればよいので、より安定経営が見込めます。
2.融資を利用しやすい
区分所有マンションと比較し、物件の担保評価も高くなり、金融機関の融資が利用しやすいメリットがあります。
担保評価の高い物件等によっては、100%フルローンも可能性があるため、結果として少ない自己資金でも不動産投資が可能となる場合があります。
3.自由度が高く、物件の賃貸管理・運営がしやすい
1棟アパートの場合、土地・建物すべて1人の所有者が基本のため、権利関係が単純です。
修繕計画や賃料設定などをご自身が自由に決められるため、管理会社と相談して最適な管理を行うことが可能です。
また1部屋の空室が発生しても収入がゼロになるということはなく、長期的に安定した収入が望めることも1棟買いの魅力です。
アパートの維持管理もパートナーの管理会社に一任することで、わずらわしさが低減できます。
4.空室による収入0(ゼロ)のリスクが低い
1棟アパートの場合、社宅等で一括貸ししていない限り、全戸数一度に空室になることは考えにくく、空室により収入がゼロになるリスクは極めて低いとも言えます。
つまり、全6戸のアパートの場合、1室空室が発生しても他の5戸分は家賃収入が見込めるため、借入等の返済リスクが低減できます。
区分所有マンションのデメリット
1.融資を受けにくい
区分所有マンションの場合は、融資の審査が厳しく、借入による資金調達が難しいと言われています。
土地が共有持分であり、1棟アパートと比較して権利関係が複雑となり、将来的にご自身が自由に利用・処分ができる資産が残らないため、資産価値は高くないと評価されてしまうことが原因です。
そのため、金融機関の担保評価が低く、少額な投資金額にも関わらず、必要な自己資金割合が多くなる傾向にあります。
段階的に区分所有マンションの戸数を増やして資産形成した場合でも、そもそもの担保評価が低いことが影響し、資産が増えていても評価全体が低く、融資が厳しくなるケースもあります。
2.ご自身の意志だけでは決定できない面があり、権利が限定的
火災や地震で建物自体が焼失・倒壊した場合、区分所有マンションでは土地の持分の権利しか残りません。
初めて不動産投資をする方でも、分譲マンションにお住まいの方はご存知かと思いますが、区分所有法というものがあります。簡単に言うと、マンションの一戸一戸を独立した所有権として、その権利を定めた法律のことです。
また、管理規約という建物や使用に関するルールが定められています。
1棟アパートならば、ご自身の判断で大規模修繕やリノベーション、建て替え等も自由に行うことができますが、区分所有マンションでは、区分所有者5分の4以上の賛成がないと建て替えができません。
管理規約の改定も4分の3以上の賛成が必要です。
築年数が古くなれば、入居者確保も困難になる可能性も想定されますが、空室対策としての改善等についても、ご自身が所有している部屋のみ改修することができません。
管理規約によりペット不可と定められている物件は、自由にペット可へ変更することができません。
ご自身の思うような賃貸管理・運営に制限があり、自由度が低いことが区分所有マンションのデメリットと言えます。
3.月々の収入が少ない
特に分譲マンションの区分所有等は、1棟アパートと比較し管理組合による修繕を行うため、一般的に管理費や修繕積立金などの負担が高くなり、利回りが低くなるケースがあります。
また、区分所有マンション1戸ならば全体の投資金額が少ないため、月々の収入も多くありません。
4.空室による収入0(ゼロ)のリスク
初めて不動産投資をする場合、少額で投資できる区分所有マンション1戸だけを取得するという人も多いでしょう。
しかし、その1戸の入居者が決まらないと家賃収入がありませんので、借入返済が困難になります。
また、入居者がいなくても管理費や修繕積立金は毎月必要となります。
区分所有マンションを1戸所有の場合は、家賃収入が0か100になってしまうため、この空室のリスクこそ、最大のデメリットだと言えます。
しかし、ポートフォリオの視点から、様々な地域・エリアに複数戸所有すればメリットに変わります。
1棟アパートのデメリット
1.投資額が大きくなる
土地・建物丸ごと1棟に投資するので、区分所有マンション1戸と比べ、不動産投資における金額は高額になります。
借入金額も大きくなるため、区分所有マンションよりも不安感生じやすいとも言えます。
入居者が入らない不人気な物件など、あまり優良ではない物件を取得してしまい、不動産投資に失敗した時のリスクも、投資額に応じて大きくなります。
また、区分所有マンションのような管理組合がなく、修繕等の際には一時的にまとまった資金が必要となるため、ご自身で資金計画を立てて、必要となる修繕費相当をプールしておく必要があります。
2.立地上のリスク分散ができない
物件のある地域が災害などにより建物が損壊してしまった場合、家賃収入が入らなくなるリスクがあります。
万が一、建物で事件や事故が起きてしまったら建物全体のイメージダウンにつながり、人気のない物件になる可能性もあります。
目の前に別の建物が建ってしまい、日当たりや眺望が悪くなったりするケースも想定できます。
物件所在地の街が衰退し、人気がなくなってしまうケースも起こり得ます。
3.区分所有マンションと比較し、超一等地での物件が存在しない
都心などの超好立地には、再開発や都市計画の観点から物件はほぼ存在しません。
地価は高く、建物は高層化されるため、アパートは存在しにくい環境です。
1棟アパートも、ポートフォリオとして様々な地域・立地の物件で複数所有される方が多いようです。
1棟アパートと区分所有マンションのまとめ
区分所有は少ない資金で始められるメリットがあるため、ステップアップの入口としては良いのですが、管理組合の同意等、自由に思うような賃貸経営ができないことがデメリットです。
ただ現状として、区分所有マンション融資の評価はなかなか厳しい現状がありそうです。
金融機関としては、何があっても土地は残るという1棟アパートの方が評価を高く考えているのでしょうか?「アパートローン」という融資商品を持つ金融機関は多いです。
不動産投資を1棟所有で始める場合も、区分所有で始める場合もそれぞれにはメリット、デメリットがあります。ご自身が不動産投資に求めるものを整理した上でどちらが適しているのかを考えていくことが必要でしょう。
どちらが正解!?
さすがに、1棟アパート(6戸)と区分所有マンション1戸を比較し、1棟アパートは高い・区分所有マンションは安いという比較はナンセンスなので、例えば5,000万円の投資で1,000万円の区分所有マンション5戸買うのと、5,000万円の1棟アパートを1つ買う比較をすべきかと思います。
1棟アパートでは1回の契約、1回のローンで複数の部屋を同時に所有できますが、区分所有マンションの場合は、物件の数だけ売買契約や融資手続きが必要となり、手間がかかると言えますが、大きな問題ではないでしょう。
よって、大きく異なる点は、次の2点に絞られると思います。
- 区分所有マンションは、小額から投資可能でポートフォリオが図りやすい
- 1棟アパートは、何があっても土地という資産は残る
これが、それぞれの特徴でもあり、メリットです。
長期的な視点で運用を考えた場合、
- 物件の評価が高く、融資が利用しやすい
- 何があっても土地は残る
という事で、最後は好みの問題でもありますがどちらかというと様々な投資がある中で、一部少額で不動産投資を考えるならば区分マンションが良いかと思います。
逆に、将来の資産形成や運用を不動産投資中心に考える場合は郊外でも一棟アパートを持った方が良いのではないでしょうか。
不動産オーナーとしての醍醐味を感じるならば・・・
全てを自分の考えで決定できる1棟所有の方が、規模からしても、不動産投資と賃貸経営を行っているという「不動産オーナーとしてのステータス」が感じられるかもしれませんね。
徐々にステップアップしていくことで収入規模も大きくなるため、賃貸経営を専門にビジネスとして行えば、収益性も高まります。
将来的に資産を段階的に形成し、ビジネス展開を図る上でも、融資を受けやすいという事が一番メリットになるのではないでしょうか?
ただし、絶対に無理は禁物ですよ。