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相続対策で不動産投資!あわせて考えたい「家族信託」とは?

 2019/01/08 相続対策
この記事は約 8 分で読めます。 209 Views

相続対策で不動産を購入しても不動産を所有する被相続人が認知症になった場合、その運用は難しくなってしまいます。しかし、不動産などの資産を信頼できる家族に預ける「家族信託制度」を利用すれば、大切な資産を安全に管理することができます。

今回は、家族信託制度の内容とメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

 

相続対策の不動産投資は家族信託がおすすめ

被相続人の現金や株式などは不動産に置き換えることで、相続税の評価額を引き下げることができます。その上、不動産投資を行うことにより収益を生み出すことも可能です。

 

しかし被相続人が高齢となり、認知症の発症で判断力が低下すると、不動産投資活動を十分に行えなくなります。このような場合、親族を後見人とすることもできますが、資金を運用して利益を得ることにつながる投資活動は原則として禁止されています。また不動産を正当な理由なく処分することもできません。

 

このように被相続人が将来認知症になった場合を想定し、誰かに不動産投資を適切に運用して欲しいと思う場合、「家族信託制度」の利用がおすすめです。

 

家族信託とは

家族信託制度は家族に不動産や預貯金などの財産を管理してもらう仕組みです。資産管理を信託銀行などのプロに任せるのではなく、信頼できる家族・親族に管理してもらう方法のため高額な手数料も発生しません。後見制度に代わる新たな財産管理法として今注目されています。

 

家族信託の仕組み(委託者・受託者・受益者)

家族信託に関わるおもな人は「委託者」「受託者」「受益者」の3者です。

 

委託者 財産の管理を依頼する人
受託者 財産の管理を任せられた人
受益者 財産の運用で利益を受け取る権利がある人

 

例えば、不動産投資を行っている両親が将来認知症になった場合に備えるケースです。もし認知症と診断されれば賃貸契約などを結ぶことはできず、子が親の代わりに勝手に契約や売却をすることもできません。

 

そこで、親が「委託者」となり、子である「受託者」と信託契約を結びます。信託契約は未成年者・成年被後見人・被保佐人でなければ基本的に誰とでも結ぶことができます。

 

受託者が不動産投資の運用を行い、そこで収益を生み出せば、その利益を受け取るのが受益者となります。受益者は委託者本人でも孫でも構いません。また受託者も信託報酬を受け取ることができます(受託者が受益者になる場合の注意点は後述)。

 

信託契約を結ぶ方法

家族信託は家族間で行う契約なので、お互いの合意があれば契約は成立します。当事者の調印書面があれば、それだけで有効です。不動産投資における契約行為も、その信託契約書があれば受託者の判断で行えます。実際には契約書がなくても問題ありませんが、不動産投資においては契約行為が不可欠であり、委託者と受託者の関係を第三者が確認できるように、契約書を作成しておいたほうが好ましいでしょう。

 

さらに、信託契約書は公正証書で行っておくと何かと役立ちます。家族であっても、後でトラブルが発生した時に契約の効力を証明することができます。

 

例えば、受託者は信託された財産を自分の財産と分けて管理する必要がありますが、専用に管理するための「信託口口座」を開設するとします。金融機関は信託口口座開設時に信託契約がきちんと成立しているかどうかを確認しますが、その際、公正証書で契約書を作成していれば信託契約が有効であることを迅速に証明できます。もし契約書が公正証書で作成したものでなければ、それが違法な財産隠しにつながる可能性を否定できないために、口座開設を認められない可能性が高くなります。

 

家族信託に必要な費用

家族信託を最も手軽に行いたい場合、当事者同士での話し合いだけで成立します。あるいは契約書を作成して、お互いが署名・捺印をするという形でも十分です。

 

しかし不動産投資のように大きな財産を管理する場合、後々のトラブルを避けるため、正式な契約書を作成することが重要です。

 

信託契約書の作成は司法書士や行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。

費用は、信託財産が不動産の場合、信託財産の評価額が1億円以下で1%、1億円超〜3億円以下であれば0.5%が目安となります。

 

公正証書の作成費用も信託評価額によって異なりますが、例えば5,000万円超〜1億円以下であれば29,000円と決まっています。公正証書の作成を代行してもらう場合、10万円程度の費用が必要です。

 

また家族信託では、不動産の名義を委託者から受託者に変更する必要があります。なお、この名義変更は登記簿上での形式的な所有権移転なので、委託者に利益が発生しないため不動産取得税も相続税・贈与税もかかりません。名義人変更は法務局で手続きをしますが、その際には登録免許税が必要です。税額は固定資産税評価額の4/1000となります。

 

家族信託に伴う税金

家族信託する場合、名義人変更に伴う登録免許税のほかにも税金が発生します。なお名義人変更は売買ではありませんので、不動産取得税も譲渡租特税も発生しません。ただし固定資産税は、あらたな名義人である受託者に支払い義務が発生します。納税義務者が変更になるだけなので、税額そのものは変わりません。

 

また委託者が受益者である場合、例えば不動産投資を任せる親が収益を受け取るケースでは、財産権は移動しないため不動産所得に関わる税金以外に発生する新たな税金はありません。

 

ただし、委託者である親の不動産を受託者である子が運用し、そこで生じた収益を親の孫に与える場合(=孫が受益者となる場合)には、受益者に贈与税が課せられます。

 

家族信託のメリット

家族信託を活用すれば、遺言書ではできないような相続の指定も可能です。

 

遺言書では不可能な相続ができる

例えば被相続人である親が死亡し、運用している不動産を2人の子ども(息子と娘)のうち、息子に相続させるとします。その息子が事故で急死し、遺言を残していない場合、不動産は息子の妻が4分の3、そして親の娘が4分の1を相続することになります。

 

その後息子の妻も亡くなった場合、妻の親あるいは兄弟に相続されていきます。この場合、被相続人だった親が、息子の妻の親族ではなく自分の娘に相続させたいと考えていても、遺言ではそこまで指定することができません。2次相続以降は承継先を指定することができないからです。

 

しかし家族信託により自分(親)が委託者、息子を受託者にし、不動産を信託財産にしておくことで公正証書での信託契約により2次相続以降も継承先を指定することが可能になります。

 

受託者の判断で不動産投資の運用ができる

成年後見制度では、後見人は被後見人の財産を自由に処分できません。しかし家族信託制度の受託者の場合、受託者の判断で不動産を運用したり売却したりすることができます。収益性が落ちた物件を処分し、他の物件に買い替えることも可能です。

 

家族信託のデメリット・注意点

後見制度よりも柔軟な家族信託にも注意すべきポイントがあります。

 

損益通算ができない

家族信託に出した不動産を運用して生じた赤字は、他の所得と損益通算することができません。

確定申告はほかに不動産所得があれば一緒に申告をしますが、信託から生じる不動産所得は通常の不動産所得に関する収支内訳とは別に信託不動産での収入や減価償却費などを記載し、明細書を作成しなければなりません。

 

つまり、一般的な不動産投資は確定申告の際に赤字申告することで節税メリットがありますが、家族信託の場合はそのスキームが通用しない点に注意が必要です。もちろん複数人に家族信託する場合でも、信託契約間で損益通算することもできないことに留意しましょう。

 

受託者が受益者になれる期間は1年間のみ

契約内容によっては、家族信託の受託者が受益権を承継するようなケースがあります。例えば自分が受託者となり委託者は自分の父親、そして自分の母親が受益者にするとします。このとき、母親が死亡した場合、受益権を自分に承継するという契約もできます。

 

ただし、この場合、信託法163条2号の「受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態」に該当し、1年間継続後に信託は終了することになります。信託が終了したら、信託財産は所有権財産に戻るので、その帰属先を探します。

 

帰属先の指定がない場合、あるいは指定された者が権利を放棄すれば、委託者またはその相続人その他の一般承継人が帰属権利者となります。その対象となる者もいない場合、受託者が清算受託者として清算手続きを行います。

 

清算受託者は次の4つの職務を順に行います(信託法177条より)。

① 現務の終了

② 信託財産に属する債権の取り立ておよび信託債権にかかわる債務の弁済

③ 受益債権にかかわる債務の弁済

④ 残余財産の給付

 

つまり、帰属権利者が一人もいない場合、残余財産は清算受託者の固有財産になります。その際には相続税が課せられます。このような点に注意して家族信託を設計することが大切です。

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