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相続直前の不動産投資は相続税対策にならない?

 2018/06/18 相続対策
この記事は約 6 分で読めます。 459 Views

貸付事業用地等の小規模宅地等の特例という仕組みがあり、アパートやマンションなどの賃貸住宅の敷地のうち、200㎡までの部分について相続税評価額を50%減額することができます。

実は、この特例を活用し、相続税対策として相続発生直前に金融資産などを不動産に換えることで、評価の差額を活用した節税対策が行われてきました。

土地評価額の高い物件ほど効果が大きくなるため、不動産価格が上昇している背景もあり、盛んに行われていた節税対策とも言えます。

例えば、

1.マンションなどを現金で購入して賃貸として貸す

2.相続時には購入価格の20~30%程度の相続税評価額で申告し、相続税の納税額を抑える

3.申告後、すぐに購入価格よりも高い金額で売却し、現金を手にする

などの手法です。

ところが、平成30年の税制改正で、貸付事業用宅地等における小規模宅地等の特例の適用基準が厳しくなり、相続開始前3年以内に賃貸を始めた宅地が除外されることになりました。

このような行き過ぎた節税対策が多く行われたため、規制されたと言えます。

では、相続直前に不動産投資を行っていた場合は、相続税の節税効果はないのでしょうか?

実は、貸付事業用地等における小規模宅地等の特例が適用できないだけで、相続税の節税効果はあります。

但し、注意すべきポイントがあります。

今回は、貸付事業用地等の小規模宅地等の特例および改正内容、不動産投資における相続税節税対策の注意点をまとめました。

 

行き過ぎた節税対策は小規模宅地等の特例対象外になる

 

平成27年の相続税改正により、相続税が課税される方の範囲が広がったことを背景に、相続税対策として不動産投資を行ったり、賃貸アパートやマンションを建設したりする動きが広まりました。

現金を収益不動産に換えることで、相続時に小規模宅地等の特例を受ける節税対策も行われるようになりました。

平成30年度の税制改正により、このような行き過ぎた節税対策ができないように、相続開始前3年以内に賃貸事業が行われている土地は、小規模宅地等の特例が受けられません。

この改正は、平成30年4月1日以降に賃貸不動産の所有者が亡くなった場合に適用されます。(平成30年3月31日までに賃貸が始められた宅地については適用されません。)

 

3年以上前から事業的規模で賃貸していれば引き続き特例の対象

 

相続開始の3年以上前から事業的規模で賃貸を行っている方は、3年以内に賃貸を始めた物件があったとしても、小規模宅地等の特例が適用されます。

この事業的規模については、明確にはなっていませんが、所得税の基準(5棟10室)が目安になるのでは?言われています。

つまり、戸建てなどの貸家は5棟、共同住宅であれば10室以上の賃貸住宅を3年以上前から経営していることが事業的規模に該当すると推測されます。

 

相続直前の不動産投資も節税対策になる

 

平成30年の改正により、「相続直前の不動産投資は、全て相続税対策にならない」と思われている方もいますが、実際は相続直前の不動産投資でも節税効果があります。

以前にあった「相続開始前3年以内に取得した不動産の評価は、取得価格(時価)で評価」される時代があったため、勘違いしやすいのかもしれませんね。

貸付事業用地等における小規模宅地等の特例適用ができないだけで、実際は取得価格(時価)と相続税の評価基準で試算される相続税評価額の差を利用した節税対策は今でも有効です。

つまり、相続直前に行う不動産投資でも、相続税対策は効果があるのです。

但し、明らかに節税目的だけの不自然な不動産投資では否認されるケースも考えられるため、間際になって慌てて節税対策を行うのではなく、事前に準備しておくことが大切です。

 

節税効果を手に入れるまでの時間を考えること

 

不動産投資は、相続税の節税対策として有効ですが、人の不幸はいつ訪れるかわかりません。

事前にしっかりと準備しておくことが大切です。

例えば、土地の有効活用では、相続税対策を考えてから節税効果を得るためには時間がかかります。

建物をつくるまでの時間が必要だからです。

設計や工事の期間を考えると、木造アパートの場合は約1年、鉄筋コンクリートのマンションの場合は1年半から2年は必要です。

さらに、検討期間も加味すれば、それ以上の期間が必要になります。

仮に、工事期間中で相続が発生した場合、大きな節税効果は望めません。

一方で、不動産投資による完成物件を取得する場合、取得した時点で節税効果も手に入れることができます。

ご高齢のため、時間的余裕がない場合には、土地を所有していたとしても、不動産投資による完成物件を購入する方が良いケースがあります。

 

相続発生後すぐに売却は注意

 

不動産投資により取得したアパート・マンションを、相続発生後すぐに売却することは注意が必要です。

例えば、Aさんは相続発生の1ヶ月前に、相続税の節税対策として、1億円で都内の不動産を現金で購入しました。

この不動産の相続税評価額(建物:固定資産税評価額、土地:路線価)を基準に算出すると、約3,000万円(購入価格の約30%相当)でした。

Aさんより不動産を相続したBさんは、その相続税評価額(3,000万円)で相続税の申告をしました。

Bさんは、相続税の申告後(相続発生の翌年)、購入価格とほぼ同額の1億円で売却しました。

つまり、現金1億円で不動産を購入し、3,000万円の評価額として相続税を計算して申告・納税したにも関わらず、実際には1億円の現金を手にすることができたのです。

このようなケースは税務署が否認し、「相続税評価額は購入価格」とされる可能性があります。

相続税評価額と市場価額の差が大きい物件で、相続後すぐに売却するようなケースは「行き過ぎた節税対策」とみなされる場合があり、相続税評価額は市場価額に修正し、追徴課税される可能性があります。

他に売却する資産がなく、この物件を売却しなければ納税できないようなケースでは認められる可能性もありますが、どのようなケースが「行き過ぎ」とみなされるか判断基準が明らかにされてはいませんので、節税目的だけの方法には注意が必要です。

 

まとめ

 

平成30年度の税制改正では、貸付事業用宅地等における小規模宅地等の特例適用が厳しくなりました。

駆け込みでの貸付事業用宅地等における小規模宅地等の特例が適用できません。

しかし、この特例が適用できないだけで、取得価格(時価)と相続税の評価基準で試算される相続税評価額の差を利用した節税対策は有効です。

また、相続直前に不動産投資を行い節税し、相続後すぐに売却してしまうような、単に節税目的だけの不動産投資は否認されるケースもあります。

そもそも、不動産投資を行えば節税効果がありますが、安定収益を確保するために、しっかりと賃貸事業を担うことが重要です。

不動産投資には少なからずリスクがありますので、節税目的だけでは本末転倒な結果となる場合があります。

事前にしっかりと検討した上で、節税対策を手に入れつつ、次世代へ資産を受け継ぐという中長期の視点により、賃貸事業として考えることが一番のポイントです。

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